渋谷の繁華街は常にガヤガヤギラギラしていて、“疲れる”街である。なので〈誰と行くか?〉や〈渋谷のどこにいくか?〉とか〈何をしに行くか?〉がちゃんとハッキリしていないと、ほんとにほんとに疲れてしまうのだ。
しかし昨日(8/1)は、そこのところがハッキリしていて、CLUB QUATTRO(ちなみに25周年だそうです。)に中村まりさんのライブを観に行ったのだ。〈期待感を抱えて渋谷の繁華街に足を踏み入れる〉というのは、久しぶりである。
昨日は常設ステージの前に、小さめのステージが組まれていて、それを半円形にお客さんが囲むような席配置になっており、親近感ある空間となっているのがうれしい。ギター好きとしてはなおさらである。
中村まりさんの、芯が太いが人の心を優しく包むような声質が心地良く、そっと背後から支えるかのように色を添える安宅浩司さんのギターが素晴らしかった。歌への絡み様が絶妙なのである。曲の始まりは抑えめに、曲の中盤に向かって音数が増えていくが出過ぎず、あくまでも歌を引き立てるフレーズがとても素敵なのだ。「A Brand New Day」からはじまり、数々のオリジナル曲(もちろんすべて英語で歌われる)の中に「Diddy Wah Diddy」などの古典曲をちりばめたステージは、中村まり=Martin 000-18と安宅浩司=Gibson J-45 の微妙な音色の違いを楽しむことも出来、テクニックはもちろんのこと、ふたりの奏でる豊かな調和が心地良かった。
ちなみに安宅氏はもう1本ギターをスタンバイしていて、曲により、膝に寝かせてスライドバーを巧みに操り、我々を米国深南部方面へと誘ってくれたのだ。
「なんだか今日は気持ちよく眠れそうだなぁ」というのが偽らざる心境だったのだが、それは彼女の無垢な声質だったり、人間の指が奏でるアコースティック・ギターの木の音色だったり、とにかくヒューマンな音楽に触れたからである。そんなやわらかい気分でライブを観終えたので、終演後、駅に向かうまでの繁華街が、なんだかいつもよりわざとらしい美術セットみたいに見えてしまってオカシカッタ。
さて、このふたりのライブはまだまだ続くのである。中村まりオフィシャルサイトには、こんなフライヤーが掲載されていたので、ぜひお近くの方は、ぜーったいに観ることをお勧めします!
(以前掲載した、中村まりさんのインタビューはこちらです。まだ未読の方はぜひ!御一読ください。)